○ MiracleMoon ○

考君は彼女の藍さんとホテルの最上階にあるレストランで食事をしていた。夕暮れが深まってくる頃、東の空から丁度満月が昇ってきた。そのとき藍さんはこう言った、、、

「ねえ、考君見て。すごく大きなお月様だわ、、、 どうしてあんなに大きのかしら、、、」

考君はその言葉に反応して藍さんに少し質問してみようと思った。

「藍さん、どうしてあの月が大きく見えるのかわかるかい?」

「え?う〜ん、、、それってこの前教えてもらった『価値があるものは大きく見える』ってこと?」

それを聞いた考君は少し笑いながら、

「ははは、違うよ。それとは別の理由があるんだよ。これも心理学が関係しているんだ。藍さん、心理学に興味あったよね、詳しく知りたいかい?」

藍さんはフリーターだが、実は大学へ行って心理学を勉強したかったのだと言う。そんな藍さんが断るわけもなく、、、

「ええ、もちろん。是非教えてよ。」

考君は待っていたかのように話を始める。

「よし、じゃあまず太陽について話すね。太陽は東から昇って来て、大きな大きな日輪が地平線から姿を見せて、朝焼けが始まる。そして一日が始まる。 しばらくすると、太陽は空高く上り、あたりは明るくなってきて来る。そこで太陽見てみると、地平線から登場するときの大きさと比べて、少し小さくなった気がしないか?」

「え?たしかにそんな気がする、、、」

「だろ?あとこれは夕方、日が入る時もいっしょだ。太陽が上空にある時よりも夕方、日が入る方が大きく見える。」

「たしかにそうだわ。」

「で、このことを月に置き換えてみると、月が上空にあるときに比べて、今日のあの月の方が大きく見えるだろ?」

「本当だ、たしかに大きく見える。」

「このように月や太陽が上空にあるときは小さいのに、地上に近くなると大きく見えることを心理学では『月の錯視』って言うんだ。」

藍さんは考君の話を聞いて納得しながら、

「へ〜、そうなんだ。でもどうしてその『月の錯視』は起こるの?」

「それはね、ちゃんとした理由あるんだよ。話少し長くなるけど良い?」

「うん、いいよ。さあ、早く。どうしてなの?」

藍さんはすっかり考君の話に夢中になっているようだ。さすがに心理学に興味があるだけのことはある。

藍さんは本当に心理学に興味があるんだな、そう思いながら考君は話を続けた。

「『月の錯視』は昔から知られているけど、説明がうまくできていなかったんだ。で、説明しようとしてたみたいなんだけど、けっこううまく説明できなかったんだって。で、そのあまりうまく説明出来なかったものの1つには。大気の層で見にくくなると言うものなんだ。この説はあまり賛成者がいなかったんだって。」

藍さんは意外そうに

「へ〜、まだよくわからなかったんだ。」

「まあ、そうゆうことだね。で、これからうまく説明できる説明すると。まず、月の本当の大きさについて考える。月って本当はものすごく大きいものってもちろん知ってるよね?」

「ええ」

「東京タワーや富士山よりも大きい。でも、月はものすごく遠い所にある。このことももちろん、、、」

「もちろん知ってるわよ」

「だね。で、月は地球から一番近い惑星とはいえ、宇宙の向こうにあるから、とんでもなく遠い。で、すごく大きくてすごく遠いものが小さく見えるのは遠近法だよね。で、この遠近法がこの説明の糸口になる。」

「遠近法が?どうゆうこと?」

「それはね、人間は目に映る大きさを手がかりにして対象の距離を測っているんだ。でも遠近法的な考え方では、近くにある小さいものと遠くにある大きいものの見分けがつかない。大きいものでも、遠くにあるかもしれないし、小さい物でも近くにあるかもしれないからね。」

「じゃあ、どうやって判断しているの?」

「それはギブソンという心理学者が教えてくれる。彼によると判断をする要因として地表が大事だと言っているんだ。地表には距離に応じて、きめが生じ、遠くのきめは細かく、近くのきめはあらい。そのきめの上に物体は位置付けられている。そして、きめの細かさを使って人間は物体の距離判断が出来ているんだ。」

「へ〜、でも何でだろ?」

藍さんは不思議そうに聞いてきた。
「それは、空の上ではいまいち大きさがよく分からないだろ。飛行機のパイロットとかは飛行機で空を飛んでるとき、大きさと距離の判断が難しいんだよ。」

「なるほど。」

「で、再び、月の話に戻ると。空の上にある月には地平の距離の手がかりはほとんどないだろ?すると目に映った像をそのものとして、素直にその大きさを受け取ってしまうんだ。 それに対して、地平にかかる月。これは地平上にある物体と比較出来るわけだ。すると地平上のどんな物体よりも遠くにあるということがはっきりとわかる。そういう認識が働くと『目に映っている月の大きさは実はものすごく大きいものなんだ。』と言う認識が自動的に生まれてくるんだ。すると『そんな遠くにあるものが、あのくらいの大きさなら月って実は大きいんだ。』と思う。その結果、月が大きく見えるようになるんだよ。」

「なるほど。周りの影響があったんだ。だからあの月が大きく見えたのね。」

藍さんは月が大きく見えた理由がわかって、納得したようだ。

「このことは人間が無意識にやっていることなんだ。意識してやることじゃないだろ?人間の視覚は距離と大きさの計算を自動的にこなしているんだよ。だから錯覚するんだ。

「へ〜、人間っていろんなこと無意識でやってるんだ。すごいな〜」

「どう?少し心理学について学べて。」

「うん、少しでも心理学学べてうれしいよ。ありがとう」

藍さんは嬉しそうに答えてくれた。

「また機会があったら教えるよ」

「本当に?ありがとう」

藍さんはさらに嬉しそうに答えた。

こうして2人の夜は更けていく、、、

○書き終えて

うわ〜くさっ(^^; 聞き流してください(爆)
って言うか、この題名適当(笑)

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